月別アーカイブ: 4月 2014

セウォル号事故にも潜んでいたコミュニケーションの問題

yes noこの大惨事の原因についてはまだまだ情報が錯綜している段階ですが、乗員と管制官の更新記録を見ると、コミュニケーションの深刻な問題が事故の一因となっているようです。

現時点で原因の矛先は、船長や乗員へ集中的に向けられているようですが、この記録を見る限り、私には根本的な原因は、管制官側にあったように思われるのですが、皆さんはどうお感じになるでしょうか。

 

管制官: “Please go out and let the passengers wear life jackets and put on more clothing.”

乗員: “If this ferry evacuates passengers, will you be able to rescue them?”

管制官: “At least make them wear life rings and make them escape.”

乗員: “If this ferry evacuates passengers, will they be rescued right away?”

管制官: “Don’t let them go bare. At least make them wear life rings and make them escape… We don’t know the situation very well. The captain should make the final decision and decide whether you’re going to evacuate passengers or not.”

乗員: “I’m not talking about that. I asked, if they evacuate now, can they be rescued right away?”

管制官: The captain should decide if an evacuation is necessary.

 

乗員は繰り返し「脱出させたら救出できるか」を尋ねていますが、管制官は、その生死を分ける乗員の質問に答えていません。それなのに、曖昧に脱出することを提案しています。完全にコミュニケーションは、一方通行になってしまっています。

答えなかった理由は、さまざま考えられるかもしれません。しかしこんな一大事を前にして、そもそも回答できなかった事情なんて存在するでしょうか。

管制官とパイロットのコミュニケーションの失敗が航空機事故につながっているのは、有名です。そしてその主な原因は、質問に対して的確に即答できなかったことにあると言っても過言ではありません。

実を言うと、緊急事態におけるYES/NO Question への返答には3つの選択肢しかありません。

1) YES

2) NO

3) I’ll find it out as soon as possible.

回答しない、あるいは回答をうやむやにして事態が好転することはゼロと言って間違いないでしょう。

 

日本語プレゼンにおける英語の使い過ぎ

jargon2すっかりご無沙汰してしまいました。

昨日の理化学研究所笹井芳樹氏の記者会見はお聞きになりましたか。

近頃の科学者の記者会見(小保方晴子氏、石井俊輔氏など)って、やたら英語が出てくることに気がつかれたのではないでしょうか。

protocol, thesis, independent, jump, articleなど

特に事前準備していた部分よりも、後半の質疑応答の部分に登場しました。

彼らが日常的に使用している英語の jargon(専門語や仲間言葉)が、ついつい口から出てしまうのだと思います。

これは科学者に限ったことではなく、誰にでも起こりうる可能性があります。人間というのは、仲間言葉が大好きで、意識的に、無意識的に多少なりとも使っているからです。

仲間内で、あるいは同じ専門性を持つ人々の間で使っている分には、意味が明快なので非常に便利です。

ところが、それ以外の人が聞くと妙な違和感が生まれることがあります。意味が分からないことも当然ありますし、推測を強いることもあります。問題は、使っている本人は全く気がついていない点です。

常に申し上げていますが、プレゼンテーションを含めたコミュニケーションは、相手に100%理解されることを目標にすべきです。目標としても、無理なのですが。

つまり、専門外の人や顧客に対してjargonの使用は避けて正解です。もしも口から出てしまったら、それを簡単に説明するくらいの配慮を持っているのが、優れたコミュニケーターと言えるでしょう。

要は、使い分けですね。専門分野では、jargonを使って自分の専門性を披露することでよりコミュニケーションが盛り上げていただいて構いませんが、一歩外に出たら、jargonを避けて老若男女をことごとく理解、説得、感動させてしまってください。

これは日本語だけでなく、どんな言語でも同様です。