カテゴリー別アーカイブ: 有名人の英語コミュニケーション力評価

小池都知事の英語コミュニケーション能力

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小池都知事が生まれてから、早ひと月半。

リオオリンピックの開閉会式への出席、豊洲新市場への移転の延期、待機児童対策への着手など、エナジェティックに実行力を発揮していらっしゃいます。

英語でもスピーチされています。ほとんどが原稿を読むスタイルですが、インタービューが見つかりましたので、彼女の英語コミュニケーション力を科学的に測定してみました。

小池都知事のメッセージは、世界へ強力に発信されているのでしょうか?

測定に使用したのは、世界一正確に英語コミュニケーション力を測定できるE-CAPです。

E-CAPは、他のスピーキングテストと異なり、言語力(文法、発音、語彙力など)だけでなく、コミュニケーションスキル(思考法、戦術、カリスマ性、自信ある話し方など)を含めた250項目以上を人的評価とコンピュータ評価を合体させて測定します。つまり、リアルに近い英語コミュニケーション力を知ることができる唯一無二のツールです。

結果は、次の通りです:

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E-CAPでは、70点がプロフェッショナルとしてグローバルビジネスを扱える基準となっています。小池都知事は、その基準を大きくクリアしているので素晴らしいです。

さらなるステップアップには、話の戦術や単語選択や流暢さを洗練させていくことが課題となるでしょう。

読者の方々のコミュニケーションの参考としていただくために、小池都知事のスピーチの目立った3つの特徴を挙げてみましょう。

 

1.スロースピーチ

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小池都知事は、許容範囲ぎりぎりのゆっくりとしたスピードで話しています。

でも、これは短所ではなく、長所です。なぜなら、特に政治家はゆっくりと話さなければなりません。

と言うのも、権威が高まるからです。特に欧米では、「早口な人は信頼できない」という文化が根深くあります。

ビジネスでも同様です。早口で話して、頭の回転が良いように人を印象づけることはできません。十分に間をとって話してこそ、リーダーシップをとるためにふさわしい権威が生まれます。

 

2.単語選択のくせ

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小池都知事の単語選択のくせに注目してみましょう。黄色で示した部分が、基準から外れた単語です。

もちろん小池都知事がwoman, politics, policy といった単語をよく使用するのは、簡単に予想できます。

しかし、thinkを多用していることには違和感があります。

実は日本人によくある癖のひとつに、”I think”の多用があります。日本語「私は、……と思います」がそのまま英語に翻訳されて使われていると言えるかもしれません。

英語ではたびたび使うと、権威と自信がないスピーチに聞こえてしまいます。

比べてみましょう。

  • I think the Olympics are a problem.
  • The Olympics are a problem.

都知事やビジネスパーソンとして適当なのはどちらかは、説明するまでもないでしょう。

 

3.流暢さ

文法、発音の正確さが高いですし、接続詞の使用方法も良いです。

ですが、おかしな場所で間を取ることが、流暢さのスコアを落としています。

これも日本人に頻繁に発生する問題です。でも間を適切な場所に置けばいいだけですから、簡単に向上させることができます。

その方法については、英語で考えるスピーキング: すらすら話すための7つの思考法に詳しく書いています。

 

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安倍首相の米議会スピーチを科学的に分析してみた 最終評価

前回は、安倍首相の英語の特徴が顕著に出ていたスピードとイントネーションの分析結果についてお話しました。

今回は、E-CAP による科学的分析結果を元に、パブリックスピーチとして7項目でGPA評価してみました。

平均値は、3.28=B+となりました。項目別解説(チャートの1-7の番号と対応)は、チャートの下をご覧ください。abe-grade2_cr2

1.聞き手の関心を引き付ける

評価:A-

スピーチの冒頭で、祖父である岸信介の演説に言及しながら民主主義を語ったのは、多くの議員の興味をそそったに違いない。

2.聞き手とのつながり

評価:A

前回も申し上げた通り、冒頭で聞き手に馴染みのある人名や地名を挙げて協調姿勢を築くのは、優れた手法のひとつ。

ただ不思議だったのは、オバマ大統領の名前はたった一度しか述べていない。

3.トピックの選択

評価:B+

民主主義、安全保障、経済等と、議会が強い関心を持つホットな話題を網羅し、注意深くスピーチがデザインされていた。

安倍首相の今回の演説のように、聞き手が熱望する話題(日本の第2次世界大戦における日本の役割や韓国従軍慰安婦問題)に全く触れない方法もあるが、デメリットを避けながら、あえてニーズに答え、少し述べる戦術もまた有効だ。

意見は割れるところだろうが、演説後の米国議員やBBCなどの厳しい反応を見ると後者を検討する価値もあったのでは?

4.スピーチの構成

評価:B

外務省のサイトに掲載されたスピーチ原稿によると、12の部分から構成され、ほぼ時系列配置となっている。

全てが大トピックで、それが12もあると詰め込み過ぎという印象は否めない。

5.情報量

評価:C+

冒頭で安倍首相は、

”I have lots of things  to tell you, but I have no intension. ”

(申し上げたいことは山ほどありますが、その意図はありません)

と言っていたにもかかわらず、40分間でカバーするはあまりにも多い情報量だった。

フランス哲学者ヴォルテールの名言

“The surest way to bore an audience is to tell them everything. ”

(聞き手を退屈にさせる最も確実な方法とは、全部を話すことである)

は、パブリックスピーチやプレゼンでは常に適切なアドバイスだ。

6.準備

評価:A

首相が常に練習していたため、昭恵夫人と別室で就寝したというエピソードと原稿に書かれたマークが練習量を物語っている。

abe script

7.熱意は伝わったか

評価:B-

イントネーションは、スピーチのエナジーレベルと切り離せない関係(前回ブログご参照のこと)にある。

読者の皆様のプレゼンなどのご参考になれば幸いです!

安倍首相の米議会スピーチを科学的に分析してみた

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安倍首相の4月29日米連邦上・下院議会で行った演説が、さまざまな議論を呼んでいます。

「見事なスピーチだった!」という言葉と共に、日本人首相としての初めての快挙を讃える一方で、「日本の高校生よりひどい」とか「8割の議員がわからなかったでしょう」といった酷評も飛び出しました。

真実は、いかに?

スピーチの評価はもちろん、2つの側面―「内容」と「伝え方」―によってなされるべきです。

「内容」についてですが、最終原稿はその筋の専門家やコンサルタントによって、慎重に検討されたようです。適切なトピックが選択されたかどうかについては、政策助言を専門とするファーム The Daschle Group に依頼、確認 したことが明らかになっています。

演説の冒頭部分は、聞き手と同調関係を築く試みが見られました。多くの人名を挙げ、また好ましいイメージを抱かせるフレーズ(“shining champions of democracy”)やイディオム(“spent a spell in California,” “I don’t dare ask what Akie says about me”)を巧みに織り交ぜていたからです。

もっとも「内容」の方は専門家チームによる成果ですから、このブログでは「伝え方」に集中して評価しましょう。

主観的評価を避けるため、E-CAP (www.ecap.jp) で評価分析しました。E-CAPは、コミュニケーション能力75項目以上を数学的に正確に評価し、国際プロフェッショナルの基準値と比較する非常に優秀な英語コミュニケーション能力アセスメントです。

最初に申し上げますが、安倍首相の演説の総合スコアはアジア人の平均値より上でした。もちろん通常E-CAPが評価しているのはコミュニケーション力なので、原稿を読んだ場合を評価するとスコアが高くなるのは当然なのでですが、「日本の高校生よりひどい」といった辛らつなコメントに説得力がないのは科学的に明らかです。まあどんな高校生かにもよりますが…。

ご参考のために、いくつかの項目について結果を見てみましょう。

1.スピード

安倍首相の英語演説のスピードは、80.8 単語/1分間で、 国際プロフェッショナルの標準値 (100-200単語/1分間)よりかなり遅いペースでした。この原因は、単語毎に区切って話す途切れがちな話し方にあります。e-cap speed meter

2.イントネーション

言語学研究で証明されているのですが、イントネーションは、自信の表れを如実に示します。それは日本語でも英語でも他の言語でも同じです。トーンの幅が小さいことは、聞き手に不確実な印象や自信のなさを伝えてしまうのです。

abe english speech

左のグラフが、安倍首相の英語イントネーションです。その幅は最大で81Hzですが、演説中にその幅を使用することは稀だったので、平均値はわずか 20Hzとかなり低い値に留まっています。

この数値を、安倍首相の国会演説における日本語イントネーションと比較してみましょう。

japanese speech

安倍首相の日本語イントネーションは、最大102Hzの幅があります。英語に比べると 25%も広く、 イントネーションパターンの多様性も、英語と比べると40%増です。

イントネーションの幅が大きく、多様性に富んでいるということは、スピーチにパワーと権威があることを意味します。

これがそのまま生かされれば、一層素晴らしい英語スピーチが実現できていたはずです。

3.スピードとイントネーション

では、スピードとイントネーションの特徴を視覚化しやすいように波型グラフで見ましょう。

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黒の縦線はすべて、安倍首相がスピーチで取った間(ま)を示しています。上の部分に注目すると、黒の縦線2本のあいだにピンクの塊がひとつだけ挟まれているのは、単語で区切ってしまっていることを表しています。

下の部分のネイビーブルーの波線は、安倍首相の英語イントネーションです。幅の広いグリーンの波線が、国際プロフェッショナルの標準値となります。

いかがでしたか。読者の皆様のスピーチに対する印象は、科学的評価と重なっましたでしょうか?

その他単語の特徴などにつきましては、続編をお届けしたいと思います。どうぞご期待ください!

オバマ大統領の失敗から学ぶ

先日の米大統領選討論会におけるオバマ大統領の失敗は、連日のように取り上げられています。ロムニー前知事の支持率は、猛追しています。

オバマ大統領自身も失敗だったことは認めていますが、厳密に言えば彼をコーチしたディベートチームの失敗だと言った方が正解ですね。そしてその失敗の主な原因はズバリ、1)プレゼン技術に配慮がなかった、2)戦術的な誤り、3)練習不足と言えるでしょう。

プレゼンが成功するか否かは、上記3つに大きく左右されてしまいます。言語についてはある程度準備できますから。

内情は分かりませんが、ディベートチームは首になってしまうかも。

オバマ大統領から学びたいことをまとめると、

  • 後を引く第一印象は、最高に良いものにする。
  • 視線を配って、その場の人々と一体感を作る。
  • ボディーランゲージを上手に利用する。
  • プレゼンの戦術をしっかりと練る。
  • Practice! Practice! Practice!

となるかと思います。英語に限らず、すべてのプレゼンに役立つはずです。

プレゼン比較(オバマ大統領VSロムニー前知事)

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ところで、米大統領選討論会はご覧になりましたか。まだの方は、こちらからどうぞ。

http://www.youtube.com/politics?feature=etp-pv-ype-3bff3fd3f0

4年前、プレゼンの上手さで一世風靡し、日本でも関連書籍がベストセラーとなったオバマ大統領ですが、まったくパワーがありません。その理由については様々な憶測が飛んでいますが、もともとパブリックスピーチはそんなに得意ではなく、プロンプターがあるとパフォーマンスが上手いというのが真実のようです。4年前のスピーチは、スピーチライターと練習の賜物と言えるでしょう。

注目すべきは、両者のボディーランゲージと視線の違いです。

オバマ大統領は、視線を落としがちです。ロムニー前知事と目を合わせるのを躊躇しているかのようです。またボディーランゲージの動きが小さいです。何か隠し事があるような、また元気なさそうなイメージですね。

一方、ロムニー前知事は、オバマ大統領、聴衆、司会者にまんべんなく視線を向けています。またボディージェスチャーの動きがダイナミックです。それによって力強く、また信頼できる印象を与えています。

だからと言ってロム二ー前知事が勝利するかどうかは分かりませんが、優れたスピーチは参考にしたいものです。